秋葉原の電気街についても調べました.いまは秋葉原の老舗家電店がいく
つもなくなりました.ラジオストアーも閉店.諸行無常です.
秋葉原の家電店ほかについて,角田無線電機の角田昭永社長(廣瀬無線の
広瀬太吉氏の令弟だそうです.お二人は山梨県出身)が,アドバイスして下
さいました.いくつかの会社の社長にインタビューしました.中小の会社の
社長(創業社長)はたいたもので,いろいろな情報を集めて自分で判断しま
す.世の中のさまざまな動向をキャッチして知っている(二代目社長となる
と,ゆったりしたジェントルマンが多い.CR社の安部守さんほか).大企業
の社長とはちがいます.角田さんに何度か会って,このように思いました.
氏は,何か訊いても的確な返事・情報がすぐ返ってくる,”そうなるのはこう
いう理由があるからだ”と言う明快な説明(それがいつ何年のことであったか,
まで)です.流通・取引・営業関係は苦手な小生は,本当に助かりました.
角田さんと老川正次郎さんとは,似たところがあります.
流通・取引,系列化というと,M社の名がよく出てきます.電子部品関係
で聞いた話ですが,品質優秀で堅実な部品メーカーがある.M社の営業が訪
ねて来て,”うちにも納入してくれ”と言う.今の顧客で手一杯で十分儲かっ
ているからと断っても,何度も通ってくる.そこまで言うならば少量だけ応
じましょう,ということになる.しばらくしてから,取引量を増やしてくれ,
となる.拝み倒されて納入量を増やす.これが繰り返され,製品の大半がM
社向けになっている.そこへスパーンと発注打ち切りとくる.この部品会社
はM傘下に入らないと倒産することになる.この会社の技術はそっくりM
社のものになる・・・.また,自動車メーカーH社はイメージの良い会社で
すが,”やり方がエグい”と知り合い(油圧機器会社の社長)が言っていまし
た.企業の競争社会では,エグいのは珍しくないのかもしれません.
D社の営業社員が秋葉原界隈のとある店に入って,しばらくすると出てく
る.電柱の陰にいたEの営業が店に入って,”今のはこれでしょう”と言って
ソロバン(電卓)で数字を出す.と,手を打ったばかりのDの金額とぴった
りです.”うちはこれにします”といって低い数を示す.取引成立,E社の逆
転勝利です.この類のこと,よくあったのでしょう.
大手電機メーカーH社はラジオ関係ではやや後発であったので,野武士精
神というのか.営業も頑張ったという話.和歌山県下の某地区のM系列電気
屋(家電店)の全部を,一夜にしてH系列に寝返らせたことがあったとか.
和歌山はカリスマ創業者Mさんの出身地ですから,M社の部長か課長の首
が飛んだでしょうか.
次の話,秋葉原のサトー・パーツの社長であったか,太平洋戦争でラバウ
ルか南方の島に駐屯しました.ラジオ放送を聴きたい.錆びたカミソリの刃
に小便をかけると検波器になるので,レシーバー(受話器/ヘッドホン)さ
えあれば鉱石ラジオができるのだそうです.ホンマかいな? 追実験しましょ
うか.
秋葉原は話題性があり,よくジャーナリストの記事にもなります.しかし,
研究資料に使えるような本・論文は非常に少ない.一橋大学の山下裕子氏(教
授)の研究が有用であると思いましたが,その後これを氏がどうまとめられ
たか.